事業の成長は利益よりも大切か
事業の成長は、どのような企業にとっても、ビジネスの長期的な健全性を維持するために重要なものです。そのため、確固たる事業開発戦略を早い段階で策定、実施することが必要になります。成長は、その企業が健全に運営されていることを示すだけでなく、投資家を引き付け、資金を確保し、有能な人材を雇用することにもつながります。
利益と成長は、企業運営の重要な場面で密接に関連しています。発展途上にある中小企業の場合、利益は小さくても成長率は大きくなる傾向があります。また生み出すお金が小さくても、健全な成長を遂げているのなら、収益性の高い企業への道のりを順調に歩んでいると見なすことができます。そうした企業は投資家にとって魅力的な存在です。自社に投資を呼び込むことができれば、成長を一層加速させ、短期間で収益性を高めることができるでしょう。この点も、中小企業やスタートアップ企業が成長を最優先課題に掲げるべき理由です。
企業の成長戦略として最良なのは?
企業にとっての成長戦略は 1 つではありません。成長を果たす最適な方法は、企業が置かれた状況によってさまざまです。以下では、中小企業に適していると考えられる成長戦略をいくつかご紹介します。
市場浸透
市場浸透とは、自社の市場シェアを高める戦略のことをいいます。たとえば、製品やサービスの価格を下げる、広告を増やす、組み合わせ販売を行うなどの方法があります。この戦略には、新製品を投入せずに自社の競争優位性を高め、新規顧客を獲得できるというメリットがあります。
市場開拓
市場開拓とは、新しい市場に参入することです。たとえば、パンの製造所が企業向けのケータリング サービスを自社の事業に追加した場合、それはケータリング市場に新規参入したことになります。市場開拓は、すでに確固たる地位を確立している企業を含め、多くの企業が広く採用している戦略です。成功を遂げている企業は、現在の市場ですでに安定した地位を築いているとしても、常に発展と成長の機会を探っているものです。どのような企業でも、絶えず新たな機会に目を光らせ、キャッシュフローを増やす方法を模索するべきでしょう。
新たな販売チャネルへの参入
現在のマーケティング戦略や販売戦略では、複数のチャネルを使う「オムニチャネル」が主流です。製品販売を従来型の店舗だけで行っている場合、オムニチャネルを展開するライバル企業と同水準の成長を果たすのは難しいかもしれません。顧客があなたの商品を見つけ、何らかの接点を持つことができるよう、できるだけ多くのチャネルを用意するようにしましょう。現代ビジネスでは、オンライン ストア、ソーシャル メディア、メールがむしろ必須であり、必要に応じてリアル店舗を構える必要があります。またリアル店舗は、単なる店舗ではなく、他のすべてのチャネルを補完するような存在でなければなりません。つまりオンライン ストアで 1 種類の体験を提供するだけでは不十分であり、オフラインでも同様の体験を提供する必要があるということです。今運用しているチャネルがオンラインだけで、そこからどう展開していけばいいかわからないという場合は、ポップアップ ストアを出店することや、商品を地域の店舗に置いてもらうことを検討してみてください。
市場のセグメント化
既存の顧客層を見直し、最も緊密な関係を築きたいと思う顧客層にターゲットを絞り込むのが市場のセグメント化です。顧客層の切り口は地域でもかまいませんし、年齢や習慣、業種でもかまいません。ここで重要となるのは分析と指標です。知識を共有し、必要なデータに関係者が簡単にアクセス可能にすることで、事業の全体像を正しく理解し、力を注ぐべき場所を的確に判断できるようにする必要があります。たとえば事業展開地域に学生が多いにもかかわらず、彼らを十分引き付けることができていないのなら、学割を導入してみましょう。また通勤客が多い地域であれば、潜在的な顧客を捕まえて長期的な関係を築くことのできるポイント カードのような仕組みの導入を検討するといいでしょう。
事業を成長させるためのヒント
自社の成功を望むビジネス オーナーは、成長の機会をうまくつかむことができなければなりません。そのためのヒントをいくつかご紹介しましょう。
成長戦略のテンプレートを利用する
次の行動を常に計画しておきましょう。中小企業は成長を目指す必要がありますが、闇雲に成長しようとしても、待ち受けているのは失敗です。社内の主要な意思決定者とともに、成長についてブレインストーミングを行いましょう。あなたの次の一歩は社員全員に影響を与えます。彼らの意見をないがしろにする、あるいは無視するようなことはすべきではありません。成長戦略のテンプレートを共有すると、会社として計画している次のステップを関係者全員が明確に理解し、それぞれの意見を述べやすくなります。チームでの共同作業は会社の競争力となるものであり、組織としての成長を促します。
SMART 目標を設定する
目標は誰でも掲げるものですが、SMART 目標ならチームの目標を達成しやすくなります。SMART とは、目標に対するアプローチを示す以下の単語の頭字語です。
- Specific(具体的):何を達成したいかを正確に定義します。「するかもしれないこと」を漠然と示すだけでは不十分です。
- Measurable(測定可能):目標は測定可能でなければなりません。測定可能であれば、達成状況を把握できます。
- Achievable(達成可能):当然のことですが、達成不可能な目標を掲げてもあまり意味はありません。
- Relevant(関連性):目標は、自社にとって意味のあるものでなければなりません。今自社が置かれている状況や現在のチーム編成を考慮する必要があります。
- Time-bound(期限):期限を設定し、その期限を守るためにすべきことを明確にする必要があります。
SMART 目標は、チームが目標達成に向けて従うべき全体的な枠組みとなります。
適切なツールを使用する
成長を果たすために、必ずしも画期的な取り組みは必要ありません。それよりも大切なのは、すでに実施しているプロセスを最適化することです。そのためには、現在のツールやワークフローを改良、改善していく必要があります。
たとえば中小企業の Doberman では、自社のワークフローを改善し生産性を高めるために Dropbox を利用しています。同社のデザイン ディレクターを務めるクラス・トーセン氏は、「Dropbox Business を使えば、パソコンをオフラインにしても、出張先でも、すぐファイルにアクセスすることができます。従来は時差の関係で共同作業が困難なこともありましたが、今ではすべてのファイルが常に同期されており、誰もが必要な時にファイルにアクセスできるようになりました」と述べています。
スマート ワークスペースの導入、柔軟な働き方の導入、Dropbox Capture のような革新的なツールを使ったコラボレーションの促進などを通じて生産性の向上に投資することも、成長を果たすための 1 つの手段となります。
外部からの投資を検討する
事業を成長させるには資金の投入が必要だと実感する時が、やがて来るかもしれません。外部からの資本は、アイデアを実現したり、事業の成長を推し進めたりする際に役立ちます。資金は必要だが、何から始めればよいかわからないという場合は、DocSend Startup Index を活用しましょう。スタートアップ企業がライフサイクルのさまざまな段階でいかにして資本を確保しているかについて、インサイトを得ることができます。また投資家にプレゼンする準備が整ったら、プレゼン用の資料がいつ閲覧、ダウンロード、転送されたかを DocSend が追跡してくれるので、常に最善の行動を取って投資家の確保につなげることができます。DocSend の仕組みと事業の成長に役立てる方法について詳細をご覧ください。
現状に甘んじない
あなたの会社が今どれほど成功しているとしても、中小企業には常に成長することが求められます。たとえ 10 年間事業を維持できているとしても、中小企業にとって、事業の失敗は極めて現実的なリスクです。これまでの成功に甘んじている余裕はありません。逆に、先を見すぎてもいけません。もっと広い新しいオフィスに移転するとか、社員の数が増えるといった「成長」はわかりやすいかもしれませんが、大切なのは成長を維持できる正しいステージにいるかどうかです。それを冷静に、論理的に考えましょう。そして、他社の取り組みを単純に模倣するのではなく、あくまでも自社のことを考えましょう。
現代社会で企業が成功を果たすためのハードルはますます高くなっています。そのハードルを乗り越えるためには、成長が必要なのです。