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自己改革を果たしたサンダンス映画祭の舞台裏

2021 年のイベントをデジタルにしたことで、新たな可能性が開き、ワークフローも改善されました。サンダンス映画祭はリーチを大きく拡大し、より多くの映像作家や映画ファンに作品を届けられるようになりました。

サンダンス映画祭 2021 の劇場看板のある夜の雪道

記事:サンダンス映画祭プログラム担当上級部長 アダム・モンゴメリー氏

毎年 1 月になると、ユタ州にあるリゾート地のパーク シティには世界各地から 10 万人以上の人々が集まります。その目当ては、米国で最大級のインディペンデント映画の祭典、サンダンス映画祭です。10 日間にわたり、観客、映像作家、業界関係者、報道関係者が一堂に会し、試写会やパネル ディスカッション、インタラクティブなイベント、パーティを開いて、独立系の映画とメディアの最高傑作を讃えます。

2020 年の映画祭は、新型コロナウイルスの世界的流行が始まるわずか数週間前に幕を閉じました。次の映画祭まで 1 年を切った状況で、翌年 2021 年の映画祭がどのような形になるのかはまったくの未知数でした。ユタ州で対面のイベントを開催できるだろうか?すべてオンラインで行うべきだろうか?あるいは、ハイブリッド映画祭という方法にはできないだろうか?私たちは、それぞれのシナリオに対処できるようプランを練っていました。世界がどのように変わっても、映画人たちの新しい作品を紹介し、ストーリーテリングの技術を軸にコミュニティを 1 つにしたいという想いがあったからです。

いろいろと検討を重ねた結果、サンダンス・インスティテュートは翌年の映画祭を完全にオンラインで実施することに決めました。同時に、米国内の数か所でライブ上映を行うことにしました。リモートでの共同作業という新しい時代に、少なくとも 5 つ以上のタイムゾーンの人々が協力する複雑な一大プロジェクトとなりました。きわめて例外的なこの年に、私たちはこの映画祭の「顔」を大きく変えて、多くの人がアクセスできるものにしました。

サンダンスでのオンライン ラッシュ上映の様子。2 人の人物と 1 匹の子犬が写っている

映画祭の舞台裏

映画祭のプログラム部門に所属している私の役割は、毎年 15,000 本を超える応募作品の選考プロセスを統括することです。60 人からなる私のチームでは、応募作品のすべてが十分に審査されるよう手を尽くします。そうすれば、入念な審査によって新たな作品を見いだし、インディペンデント映画祭で最高の上映ができるようになります。

プログラム部門が映画祭で上映する最終候補を決定した後は、選考を通過したことを応募者に伝えます。そこからは、必要な情報を収集して整理するという手間のかかるプロセスが始まります。映画のスチールや、監督の顔写真、あらすじ、クレジット、そのほか多様な情報を短期間に収集しなければなりません。制作者はオンライン上映や映画祭の会場での上映に向けて、必死で作品を仕上げます。

こうした素材の到着を待つのが、エキシビション部門の技術ディレクターであるホールデン・ペインです。彼のチームがビデオ ファイルとデジタル シネマ パッケージ(DCP)のサウンドや映像の品質をチェックして、映画祭の上映にふさわしい状態であることを確かめます。ホールデンは、オンライン形式でも直接の会場でも、上映中やパネル ディスカッション中に参加者が見聞きするものに関して、すべてを取り仕切っています。

サンダンス映画際の舞台裏
クリップボードを手に持つマスク姿の男性

使い慣れたツールの新しい用途

ホールデンと私は 8 年ほど一緒に働いていますが、オンラインに移行するのに最適なツールをすでに使っていることがわかりました。Dropbox です。以前から、パネル ディスカッションや、授賞式、その他さまざまな場面で使う映像コンテンツのリクエストや共有に、Dropbox を使っていました。映像クリップを集めて編集し、Dropbox の共有フォルダに保存します。すると、ホールデンのチームがパッケージを作成して再生できるようにします。Dropbox はその他の用途でも活躍していました。パネリストたちには上映したいクリップを送信してもらい、式に参加できない受賞者のスピーチを Dropbox で収集します。フォルダにアップロードしてもらう方法は、メールにファイルやリンクを添付するよりも圧倒的にシンプルでスムーズです。

私のように、複数のノート パソコンやタブレット、ビデオ編集用パソコン、オフィスのパソコンなどを使う人は、どこにいても必要なファイルをすぐに使えるようにしたいのです。Dropbox ならシンプルな方法でこれを実現できます。

Dropbox のおかげで、選考プロセスで使用するテクノロジーの進化に対応できるようになりました。

サンダンスで働き始めた頃、私が最初に取り組んだのは、映画祭の応募を VHS から DVD に切り替えることでした。紙の申請用紙やアナログのビデオテープを使っていた昔ながらのシステムを刷新して、応募者が作品のファイルをアップロードできるオンライン申請に移行しました。新システムに慣れるには時間がかかると予想し、作品のフォーマットについては一切の指定をしませんでした。

物理メディアという暗黒時代をようやく脱した私たちでしたが、デジタル技術の競争が新たな問題を引き起こすことになります。多種多様なプライベート リンクやスタンドアロン型の安全なオンライン プラットフォームが入り乱れ、しかも視聴手順はメールで送られてくることが多いので、数千件もある応募作品の管理は大変です。常にコンテンツを同期する Dropbox は、こうした複雑なプロセスをシンプルにできるツールとして非常に価値があることが証明され、試写と選考のプロセスは一元的に管理できるようになりました。また、Dropbox は私たちが日常的に使用しているプラットフォームも自然な形で統合できました。Dropbox は、私たちが共同作業をする際に最初にチェックする中心的なツールになったのです。

左の写真にはパソコンで編集する映像制作者。右の写真には「サンダンス映画祭」の横断幕を掲げたパーク シティの雪道

公平な条件を整える

選択型同期で容量を節約

どのデバイスにも Dropbox をインストールして設定するのは難しくありませんが、新規ユーザーにとっての問題はハード ドライブの容量です。私たちのノート パソコンはハード ドライブの容量が潤沢というわけではありません。そのため、メンバーは追加で何かをインストールするのをためらいがちです。彼らには Dropbox のとても簡単なインストール方法を説明するとともに、必要なファイルだけを同期する選択型同期の操作についても紹介しました。私の経験上、他社のクラウドベースの共同作業プラットフォームでは、選択型同期がとても面倒です。結果として、不要な大容量ファイルがハード ドライブを圧迫することになってしまいます。

常に正しいバージョンで作業

また、私たちが「バージョン疲れ」と呼んでいる問題も Dropbox で解消できました。内容を変更するたびにファイル名を変える必要はなく、変更内容について記載したコメントを残すことができます。これで、最新バージョンのファイルが簡単にわかるようになりました。それまでは、「サンダンス最終1」「サンダンス最終2」といったファイル名や、もっとひどい場合は「サンダンス最終_本当の最終」のようなファイル名から判断する必要がありました。場合によっては、上映する数時間前や数分前になっても、最終的な微調整をすることがあります。こんなときは、複数のバージョンを何度もチェックしなくても、上映するファイルが最新のカットであることをすぐに把握できる必要があります。

容易なインテグレーションで障壁を排除

ファイルの保存にはすべて Dropbox を使っています。私が最も気に入っているインテグレーションは Vimeo です。Dropbox フォルダを新規に作成して、そこに置いたファイルを自動で自分の Vimeo チャンネルに共有することができます。しかも、必要なプライバシー設定も自動で適用できます。たとえば、映画関係者やパネリストに、作品の新しいカットやその他のビデオ ファイルをそのフォルダにアップロードするよう依頼します。アップされた数分後には、私の手元で映像を視聴できるようになるのです。Dropbox と Vimeo のインテグレーションによって、応募者や共同作成者の条件を公平なものにできます。Vimeo や Dropbox アカウントで契約している容量が小さくても、誰もが公平にアップロードできるからです。サンダンスの Dropbox アカウントにプロジェクトをアップロードするのに費用はかかりません。予算の規模にかかわらず、誰もが応募できるという点では金銭的にも公平だと言えます。

「サンダンス インスティテュートが Jockey を上映」と表示した屋外の電光掲示板
山々を背景に立つ野外スクリーン

引き継がれていく成功の物語

2021 年サンダンス映画祭はバーチャルで行われ、大成功を収めました。応募数も例年並みの水準を確保でき、映画関係者が 2021 年のサンダンス映画祭への参加を見送るのではないかという心配は取り越し苦労に終わりました。むしろ、他の映画祭への出品を見送ってサンダンスで上映された注目作品もあり、世界各国の気鋭のアーティストが生み出した作品をプレミア上映することもできました。

観客数も増加しました。オンラインのプラットフォームを利用したことで、観客数は 2 倍になりました。また、映画祭の期間中は 24 の州でサテライト上映をすることもできました。さらに、2021 年の上映作品にはすべてクローズド キャプションをつけたので、これまでよりも多くの人がサンダンス映画祭を楽しむことができました

世界的な組織であるサンダンスはこれまでも、リモート ワークを高く評価してきました。物理的な空間を共にしていなくても、人の温かさを感じることができ、生産的な仕事もできるということを知っているのです。チーム向け Dropbox のおかげで、一緒に働くメンバーの間には一体感が生まれています。住んでいる国やタイム ゾーンが違っていても、同じファイルやフォルダ、動画を見ながらコメントを残すことができるからです。

Dropbox のおかげで、リモート ワーク中の共同作業が活発化しました。仕事の柔軟性が向上し、職場の文化にも大きな変化が現れています。

2021 年はゼロからの再スタートとなりましたが、サンダンスは Dropbox を活用して、パンデミックの最中に大きな転換を果たしました。今は来年の映画祭を計画している真っ最中です。バーチャルで開催することで、リーチを拡大し観客も大きく増加するという未来が見えたと考えています。今後は、対面でのプログラムとオンラインでのプログラムが融合するような未来が確実に来るでしょう。

Dropbox で共同作業をスムーズに

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