スポーツは人を団結させる力があります。世界中のアリーナやスタジアムに大勢のファンが集まってチームに声援を送り、それ以上に多くのファンがテレビやインターネットを通じて同じ思いを共有します。一方、スタジアムにいない人たちも楽しめる視聴体験を創り出す舞台裏では、多くの労力が必要になります。
私がオーストラリアの National Rugby League(NRL)で働き始めたのは 2020 年のことです。オーストラリアでラグビーに関する権利を保有する NRL は、Channel 9 や Fox Sports をはじめとした放送権保有者に販売することで知的財産を活用しています。リーグのウェブサイトでは、テレビ放送を補完するプログラムを同時配信しています。
NRL が2017 年に Dropbox を使い始めた主な目的は、パートナー企業によるアセット使用状況の管理です。NRL は試合の映像を販売することで収益を得ているのですが、以前は誰でもアカウントを開設して映像を購入できていました。当時、NRL は購入者に送るリンクに期限を設定していませんでした。これではそのリンクが第三者と共有されるのを防ぐことはできません。コンテンツがどのような形で利用されたか把握できず、リーグは収益を失うことになりました。
その後数年で、Dropbox は企業全体の情報を一元管理できる共有プラットフォームになり、組織内外のアカウントを企業規模で管理できるようになりました。FTP サイトにユーザーを誘導する代わりに、NRL では専用の Dropbox フォルダを作成し、権利者が所有する映像や、使用を認められた映像だけにアクセスできるようにしました。どの映像にいつアクセスしたかを把握できるというのは、チームにとって画期的なことでした。また、従業員のほとんどがすでに Dropbox に慣れていたので、トレーニングも不要でした。
NRL で働く前の私は、Dropbox を単なるストレージ プラットフォームと認識していました。しかし制作担当という新しい職務に就いてからは、それ以上に多くの可能性があることに気付き、あらゆる業務に採り入れるようになりました。
Dropbox はストレージ以上のスマートな共有ソリューション
私はライブ映像のライセンス契約や、内外のお客様に向けたコンテンツの制作など、メディア サービスに関する一切の業務を担当しています。
この業務では外部パートナーとのファイル共有が必須です。当リーグの編集者たちは、メールでは簡単に送れない大容量ファイルを扱うこともあって、お客様向けの素材を効率よく提供するのに苦心していました。Dropbox を導入してからは、容量の制限を気にする必要がないため、外部パートナーに大容量ファイルを簡単に送れるようになりました。
当リーグの撮影班やフリーランスの写真家も、みんな Dropbox を使っています。以前は、フリーランスの写真家や撮影技師の多くは各自で作成した個人用 Dropbox アカウントを使ってファイルを送信していましたが、その送り先がバラバラで、すべてを把握するのが難しい状況でした。
Dropbox のファイル リクエスト機能は、ファイルをリクエストする側が保存先を指定できるので、そのような問題を解決してくれます。リクエストを受ける写真家が Dropbox アカウントを持っていなくても問題ありません。写真家がファイルをアップロードすると、Dropbox に適切なフォルダが自動的に作成されます。このプロセスのおかげで、誰もがファイルを整理しやすくなり、素材の受け渡しにかかる時間が短縮されます。
Dropbox グループで体系化、統制、可視化を実現
チーム用 Dropbox アカウントに移行したことで、リーグ内の体制づくりも進みました。チーム用アカウントを作る前は、NRL の各部署やスタッフが個人用 Dropbox のアカウントを使用していたため、管理面での統制に限界がありました。全員が 1 つのプラットフォームを利用するようになってからは、管理者の業務効率も上がっています。
私は Dropbox のグループ機能を使って、部署ごとにグループを作成しています。そのうえで特定のフォルダに限定してアクセス権を付与すれば、誰もが必要なものをすばやく簡単に見つけられます。管理者はファイルに有効期限を設定できるほか、共有されているファイルの確認、ダウンロードや閲覧をした人物の追跡もできます。さらに、アクセス権を追加または削除することや、個人を別のグループに移動することも可能です。
Dropbox の優れた機能でファイルの共有状況が明確になり、何が起きているか、誰が関与しているか、いつ起こったかを正確に把握できるようになりました。
リモートでの共同作業とコミュニケーションの効率化
NRL では以前から Dropbox を導入するメリットを感じていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって他とは違う特徴が明らかになり、一気に普及が進みました。感染拡大が始まってまもなく、視聴制限付きで試合の実況中継を再開することになりました。放送事業者やスタジアムに足を運べない関係者とコンテンツをすばやく共有する手段が必要でした。
Dropbox があったおかげで、その素材をすばやく簡単に配付できました。ファイルごとに Dropbox リンクを共有する代わりに、外部パートナーごとにフォルダを作成し、そのフォルダにパートナーのメール アドレスを追加すれば、相手は Dropbox アカウントを持っていなくても必要なファイルにアクセスできます。フォルダにアクセスすると、撮影班やフォトグラファーから送られてくるコンテンツをその場で確認できます。
映像の編集作業は多くの人との共同作業が必要ですが、全員がオフィスにいた頃はそれが簡単にできていました。しかしリモートワークになれば、誰かの席に立ち寄って一緒に映像を見るといったことができませんし、そうした対面での話し合いをメールのやり取りで再現するのは不可能です。メールでのフィードバックがたまると、コメントが見落とされることがあります。また、メールはリアルタイムでないため、編集者がまとめ作業を終えた後に別のメッセージを受け取ると、さらに作業が必要になる可能性があります。
そこでチーム全員が映像を同時に確認できる Dropbox Replay を試してみたところ、問題がすべて解決しました。Replay を使用すると、延々と続くメールのやり取りが不要になります。Replay のリンクを用意して、チーム メンバーからのフィードバックに期限を設定するだけで、メンバーが動画の正確なタイミングにコメントを残してくれます。フィードバックのスピードと正確さが向上し、異なる場所で作業をしていても、すべてが 1 か所に集約されます。
企業規模で Dropbox を利用することで、想像以上のメリットと機能性を引き出すことができました。