PDF は、現在広く利用されている一般的なファイル形式の 1 つです。他のフォーマットと比べて、PDF ドキュメントは共有しやすく信頼性が高い上に、最新のインターネット ブラウザの大半と互換性があります。また、ほとんどの OS に対応しています。
PDF を使用すると、他のファイル形式にありがちなポータビリティの問題を回避できます。あるデバイスでドキュメントを開こうとしたときに、一部のフォントが認識されずイライラした経験のある人は多いはずです。PDF なら Windows、Mac、モバイル、タブレットで開くことができ、どのデバイスでもまったく同じように表示されます。
フォーマットの汎用性が高いため、PDF は契約書や求人応募などのインタラクティブ フォームによく使われます。また、電子署名が可能な唯一のファイル形式でもあり、これまで時間がかかっていた紙ベースのプロジェクトの納期を大幅に短縮できます。
では、PDF ファイルでこうした機能を使えるようにするには、どうすればよいでしょうか。よりクリエイティブで効果的な PDF を作成する PDF 編集プロセスをご紹介します。
デスクトップで PDF を編集する方法
これまで、PDF の編集は複雑で骨の折れる作業でした。初期の PDF は誰もが手軽に使えるものではなく、その当時のデバイスではファイルの容量が大きすぎて扱いにくかったせいです。また、ダウンロードやレンダリングに時間がかかり、外部へのハイパーリンクもサポートされていませんでした。
しかし今では PDF が広く普及し、そのフォーマットも進化を続け、改良されています。それに伴って、PDF ファイルをすばやく効果的に編集できる優れたツールやプラットフォームも増えています。
Dropbox もその 1 つで、ユーザーができるだけ簡単に PDF を編集できるような工夫がされています。以降では、Dropbox と Adobe Acrobat を連携させると、Mac や Windows のパソコンで PDF の編集がどれほど簡単になるかを見ていきます。
Adobe Acrobat を使って Mac または Windows のパソコンで PDF ファイルを編集する
Dropbox と Adobe を組み合わせることで、1 つのアプリケーションで PDF を編集した後に、バックアップまたはクラウド ストレージ サービスに保存されているファイルを手動で更新するというプロセスを効率化できます。
Acrobat Pro DC では PDF の作成、変換、編集、保護、署名ができ、無料の Acrobat Reader ではテキストのハイライト表示や注釈の追加が可能です。変更内容はすべて Dropbox アカウントに自動で保存されます。
Acrobat または Acrobat Reader のデスクトップ アプリをダウンロードしてインストールした後、Dropbox アカウントを追加します。Acrobat または Acrobat Reader で[ホーム]>[アカウントを追加]の順に移動し、Dropbox ロゴの下にある[追加]ボタンをクリックします。
デフォルトのブラウザでログイン画面が開きます。Dropbox アカウントにログインした後、Acrobat から Dropbox ファイルへのアクセス許可を求められたら[許可]をクリックします。Acrobat または Acrobat Reader に戻ると、Dropbox アカウントの PDF ファイルを編集できる状態になります。
- Acrobat または Acrobat Reader のデスクトップ アプリで、左側のペインの[ファイル]内にある Dropbox フォルダを開きます。
- 編集する PDF を選択し、画面右側のツール ペインで[PDF を編集]を選択します。
- テキストを追加または編集するには、[PDF を編集]から[編集](ペンと紙のアイコン)に移動します。このツールでは次のことができます。
- PDF 内の既存テキストの変更、置換、削除、書式設定
- テキストや番号付きリスト、箇条書きリストの追加
- テキスト ボックスの移動、回転、サイズ変更
- 注釈や描画マークアップによるコメントの追加
- PDF に画像を追加または編集するには、[PDF を編集]から[編集]に移動します。
- [画像を追加]を選択して画像を挿入し、配置するファイルを見つけて[開く]をクリックします。画像を配置する場所をクリックするか、クリックしたままドラッグしてサイズを調整し、ページ上に配置します。
- 画像の横にあるハンドルをドラッグしてサイズを変更するか、キーボードの Shift キーを押しながらハンドルをドラッグすると、元の縦横比を保ったままサイズを変更できます。
- 画面右側のパネルにある[オブジェクト]では、反転、回転、トリミングができます。
- [オブジェクト]内の[重ね順]を使用すると、ページ上の他の要素の前面または背面に画像を移動することができます。
- 右側のパネルにある[オブジェクトを整列]では、ページ上で画像を左揃え、上下中央揃え、右揃え、上揃え、中央揃え、下揃えで並べることができます。
- [PDF を編集]ツールセット内にある他のツールを使うと、透かし、ヘッダーとフッター、ページ背景の追加、置換、編集ができます。
- フォーム内のテキストを追加、編集、移動するには、右側ペインの[入力と署名]またはツールバーの[署名](ペンのアイコン)を使用します。
- テキストを追加または編集するには、[PDF を編集]から[編集](ペンと紙のアイコン)に移動します。このツールでは次のことができます。
- ファイルに名前を付けて[保存]ボタンをクリックします。
- PDF に加えた変更は、すべて Dropbox アカウントに自動で保存されます。
Dropbox を使って Mac や Windows で PDF ファイルを編集する
Mac や Windows パソコンで作業をしていて、クライアントや同僚に送る予定の PDF を少しだけ手直ししたい場合、dropbox.com でファイルをプレビューしながらその作業ができます。
Dropbox で PDF を編集するには、ファイルが 111 MB 未満であること、パスワードで保護されていないことを確認してください。Dropbox アカウントで PDF ファイルを直接編集する方法は以下のとおりです。
- dropbox.com にログインします。
- 編集する PDF ファイルを選択します。
- PDF を開いた状態で、ファイル プレビュー画面の上部にある[編集]に移動します。
- 各ツールを使って PDF の編集を開始します。
- ファイルにページを追加する必要がある場合は、[ページを挿入]をクリックし、画面の指示に従って Dropbox アカウントから PDF を挿入します。すべてのページがウィンドウ左側のサイドバーにサムネイルとして一覧表示されます。
- PDF のページの順番を変更するには、左側のサイドバーで移動するページを選び、新しい位置にドラッグします。
- ページを削除するには、左側のサイドバーで削除するページのサムネイルをクリックし、[ページを削除]を選択します。
- ページを回転させるには、左側のサイドバーで回転させるページのサムネイルをクリックし、[右方向に回転]または[左方向に回転]を選択します。
- PDF がインタラクティブ フォームの場合は、入力可能なフィールドをクリックし、表示されるテキスト ボックスに必要事項を入力します。
- 注:Dropbox で入力できるのは、入力フィールドのあるインタラクティブ PDF フォームに限られます。
- 編集内容に問題がなければ[完了]をクリックします。
- 変更後は忘れずに保存してください。
- [コピーを保存する]を選択すると、PDF が新しいファイルとして Dropbox アカウントに保存されます。新しい PDF として保存した場合、別のユーザーが元の PDF へのアクセス権を持っていても、そのユーザーに変更内容は表示されません。
- Dropbox アカウントに保存されている元の PDF を、編集後のバージョンで完全に置き換える場合は、[元のファイルを上書きする]を選択します。この場合、元のバージョンへのアクセス権を持つすべてのユーザーに変更内容が表示されます。
- 注:自分がファイルの所有者である場合、またはファイルの所有者から編集権限を付与されている場合に選択できるオプションです。
モバイル、タブレットで PDF を編集する方法
外出中に作業するときには、いつも使っているパソコンを利用できないこともあります。幸いなことに、Adobe Acrobat と Dropbox を連携させると、Android や iOS、iPadOS デバイスでも PDF を開いたり編集したりできます。
Adobe Acrobat を使って Android、iPhone、iPad で PDF ファイルを編集する
- デバイスのアプリ ストアから Dropbox と Acrobat Reader の最新バージョンをダウンロードしてインストールします。
- アプリで Dropbox アカウントにログインし、編集対象の PDF ファイルを開きます。
- [編集]アイコン(ペンと紙)をクリックします。
- クリックすると Adobe Acrobat アプリの画面が開き、Dropbox アカウントへのアクセスを Adobe Acrobat に許可するよう促すメッセージが表示されます。
- Adobe Acrobat アプリで PDF ファイルが開いたら編集を始められます。
- PDF ファイル内でページの順番を入れ替えるには、画面左上の青い[ページ]アイコンをタップして[ツール]ペインを開きます。[ページを整理]を選択し、ページのサムネイルをタップしたら、そのまま離さずに新しい位置までドラッグして移動します。
- [ページを整理]機能では、選択したページの回転や削除もできます。
- PDF のテキストを編集するには、[ツール]パネルの[PDF を編集]をタップします。この操作で、ファイル内の編集可能なテキストがすべてハイライト表示されます。編集するテキスト ボックスを長押しし、表示されるポップアップ メニューから[編集]を選択します。新しいテキストを入力すると、既存のテキストがそれに応じてリフロー(文字あふれ)します。テキスト ボックスのサイズを変更するには、ボックスをタップして側面をドラッグします。
- テキスト ボックスを移動するには、ポップアップ メニューから[移動]を選び、ページ上の任意の位置までドラッグします。
- [PDF を編集]でテキストのフォント、サイズ、スタイル、色を変更することもできます。編集するテキスト ボックスを長押しし、表示されるポップアップ メニューから[選択]または[すべて選択]を選びます。キーボードの上に選択範囲が表示されます。
- PDF の編集が終わったら、[戻る]矢印をタップしてファイルを保存します。Dropbox アカウントの画面に戻り、更新されたファイルが表示されます。
PDF 編集のヒント
署名欄のある契約書やフィードバックが必要な報告書などの PDF ドキュメントを日常的に編集していると、単にテキストや画像を配置して体裁を整える作業だけでは済まないことがわかります。
PDF に組み込まれる機能が増え、フォーマットが改良されていけば、編集のワークフローもおそらく進化します。スキルを磨けば PDF の編集は決して難しくありません。そのための特別なヒントをいくつかご紹介しましょう。
PDF を編集できないのはなぜ?
PDF ファイルを編集できない原因として考えられることはいろいろあります。ファイルの所有者が自分でない場合は、作成者が編集機能をオフにしていることが考えられます。このようなケースは PDF リーダーを使って対処できます。
また、編集しようと思った PDF ファイルが保護または制限されていることもあります。作成した PDF の保護が必要なくなった場合は、Adobe Acrobat のロック解除ツールを使用してパスワードによるセキュリティを解除できます。使用するには[ツール]>[保護]>[暗号化]>[セキュリティを削除]の順に移動します。
PDF を編集できないもう 1 つの理由として、使用するソフトウェアの種類を間違えていることが考えられます。たとえば、Adobe Acrobat DC ではなく Adobe Reader DC で PDF を開いた場合などです。
PDF フォームの入力と署名の手順は?
現在、Dropbox で入力できるのは、入力フィールドのあるインタラクティブ PDF フォームに限られます。
PDF ファイルでの電子署名を可能にするさまざまな Dropbox アプリ インテグレーションが提供されています。これには、Dropbox 傘下の HelloSign や、DocuSign、Adobe Sign などがあります。パソコンでもモバイルでも、デバイスがいずれかのツールに対応していれば、PDF に署名することができます。
PDF のサイズを小さくするには?
Windows 版または Mac 版の Adobe Acrobat デスクトップ アプリで PDF を圧縮してファイル サイズを小さくすることができます。
Acrobat で[ツール]>[PDF を最適化]に移動し、プルダウン メニューから[開く]を選択します。ファイルを選択して[開く]をクリックします。上部メニューの[ファイル サイズを縮小]をクリックし、オプションのプルダウン リストから任意のファイル バージョンの互換性を選択します。[OK]をクリックして新しい圧縮ファイルを保存します。
Dropbox で PDF ファイルを手早く簡単に編集
Dropbox は署名が必要な契約書から、何度も書き直しては体裁を整えている自費出版の e ブックまで、あらゆるコンテンツの保管に適したスペースです。
Dropbox アカウントにファイルやフォルダを保存すると、安全に保護された状態を保てるだけではありません。いつでも整理、編集、共有、コラボレーションが可能な専用スペースを確保できるというメリットもあります。