ZIP ファイルとは?
デジタル ワークスペースでは、ファイル圧縮を活用することが重要です。ZIP 圧縮の技術が登場してからは、より多くのデータをより速く送信できるようになりました。こうしたことを背景に、ZIP 圧縮のツールは全世界のビジネスで活用されています。しかし、そもそも ZIP ファイルとはどういうものでしょうか?
ZIP とは、1 つまたは複数のファイルをまとめて圧縮するための一般的なファイル形式です。ファイル サイズが減少するので、転送や保管が簡単になります。ファイルを受け取った人は、ZIP ファイルを解凍(展開)することで、中に入っていたファイルを使えるようになります。
ファイルを 1 か所にまとめるという意味では、パソコンで使われている通常のフォルダと同じことをしています。ただし、ZIP ファイルの場合は中のファイルが圧縮される点が異なります。このため、パソコンで使うデータ量が削減できます。ZIP ファイルはアーカイブという側面もあります。ファイルをまとめて圧縮して 1 か所に保管できます。ZIP ファイル形式は、1 つ以上のファイルを小さく圧縮したい場合の選択肢となります。
では、ファイルが ZIP ファイルであるかどうかはどうやって見分ければよいのでしょうか。答えは簡単です。ファイル名の末尾の拡張子が「.ZIP」または「.zip」になっていたら、それは ZIP ファイルです。ファイルのアイコンも ZIP 用のものになっているはずです。たとえば、「休暇.jpg」という名前の画像ファイルがあるとします。このファイルを ZIP 圧縮すると、ファイル名は「休暇.zip」になり、アイコンも変化します。
ZIP ファイルは 7-ZIP や RAR と同じもの?
ZIP ファイルについて調べていると、「7z ファイル」や「7-ZIP」という言葉を目にするかもしれません。これらもまたアーカイブ用のファイル形式で、ZIP よりも高い圧縮率でファイルを圧縮できます。ファイル サイズが小さくなる点はメリットですが、処理にかかる時間は長くなります。また、別途アプリケーションをダウンロードしてインストールする必要があるという点で、ZIP ファイルの方が便利だと言えます。RAR や TAR といったファイル形式や、WinRAR、ZIPx、PeaZip などのサードパーティ アプリケーションについても同様です。
ZIP 圧縮の仕組み
ZIP ファイルは、データの重複部分を削除することで、ビット数を減らす符号化を行います。このような手法を「可逆データ圧縮」と言い、解凍すると元のデータが完全に復元されます。簡単な例を使って仕組みを説明しましょう。
次の文章を含むファイルがあるとします。
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ファイル中では、各単語が 2 回ずつ出現しています。文中の文字と空白それぞれが 1 つのメモリ ユニットに等しいとすると、ファイル全体のサイズは 110 ユニットということになります。しかし、番号コードを使って同じデータをまったく違う方法で表すことができます。
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- 123456789
この番号コードを使うと、ファイル中の 2 文は「123456789896712345」と表すことができます。110 ユニットだった元のファイル サイズが 18 ユニットにまで劇的に縮小されています。ZIP ファイルでは、可逆圧縮アルゴリズムを使用してこれと同じ処理を行っており、ファイルに含まれる冗長なデータを削除するという単純な方法で、同じ情報をより効率的に表現しています。データが軽いということはつまり、ZIP ファイルの送信は短時間で済むということです。
ビジネスでの ZIP ファイルの用途
ビジネスでは、さまざまな場面で ZIP ファイルを活用できます。特に便利なのは、多数のファイルをメールで一度に送信できる点です。たとえば、同僚やクライアントに大量のファイルを送る必要があるとしましょう。個々のファイルをすべてメール添付として送ろうとすると、ファイル サイズをオーバーしてエラーが出てしまいます。その場合、それぞれのファイルを個別のメールで送るという方法も考えられます。しかしこの方法では時間と手間がかかり、同じファイルを重複して送ってしまうミスも発生するでしょう。1 回のメールですべてのファイルを送信するには、すべてのファイルをあらかじめ ZIP 形式に圧縮し、その 1 つの ZIP ファイルをメールに添付すればよいのです。メールを受け取った相手は、ファイルをダウンロードして解凍するだけです。
また、保存容量の節約というメリットもあります。ファイルを ZIP 圧縮することで、パソコンのハード ドライブが消費する容量を節約できます。
ファイルを ZIP 圧縮する詳しい方法については、こちらをご覧ください。
ZIP ファイルのメリットとデメリット
メリット
ZIP ファイルのメリットはなにより、ストレージ容量を節約し、パソコンの効率性を高められる点です。メールでファイルを送る際にも効果的です。添付ファイルのサイズが小さくなれば、メールを送る速度もアップします。また、ZIP ファイルで圧縮することで、データを暗号化できます。このため、インターネット上で送信されるファイルが他者に盗み見されるのを防げます。簡単に言えば、ファイルの取り扱いを簡単な方法で大幅に効率化できるということです。また、Mac や Windows で ZIP ファイルを作るのは簡単です。Mac と Windows で操作は異なりますが、手順の最初はどちらも右クリックです。ファイルを受け取る側から見ても、ファイルの解凍は簡単です。どんな種類の OS を使っていても、必要な操作はダウンロードと簡単なクリック操作だけです。
デメリット
良いことばかりの ZIP ファイルですが、デメリットもあります。ファイル サイズの上限、ファイル形式の制限、それにデータの破損や移動の問題もあります。
数あるデメリットの中でも、代表的なものは圧縮に限界がある点です。すでに圧縮されている一部のファイルは、そこからさらに圧縮できません。特に MP3 や JPG などのファイルは、すでに十分な圧縮が行われています。そのため、動画ファイルや画像ファイルを扱う機会が多い場合、ZIP 圧縮で大幅な容量節約は期待できません。
ZIP ファイルのセキュリティについても考慮が必要です。圧縮後のファイルは暗号化されていますが、ファイルをサードパーティ製の圧縮アプリにアップロードした場合、ファイルに何が起きているかは知る術がありません。また、ZIP ファイルが破損する可能性についても考慮しておくべきでしょう。データの一部が破損すると、ZIP ファイル全体に影響が及ぶことがあります。
外出先の場合、ZIP ファイルの扱いが難しいこともあります。スマートフォンやタブレットを使っている場合は、デバイスやサードパーティ製のアプリに保存したファイルを使用する必要があります。デバイスの容量も消費しますし、セキュリティ上の問題も発生します。
ZIP ファイルに代わる選択肢
そこで、ZIP ファイルに代わる選択肢としてクラウド ストレージがあります。Dropbox を使えば、そもそも圧縮する必要がなくなります。保存や大容量ファイルの送信のために、複雑で面倒な手順を踏む必要もありません。そのままのファイルやフォルダを右クリックして、「共有」を選ぶだけで完了です。事前に圧縮する必要はありません。最大で 50 GB までのファイルを保存および共有できます。Dropbox なら、メールを使う必要もなく、ハード ドライブの容量も消費することなく、すばやく安全な方法でファイルを送信できます。もし圧縮ファイルを扱う必要がある場合も、Dropbox なら問題ありません。Dropbox は ZIP や RAR ファイルを解凍せずに中身をプレビューできます。また、アップロード後の圧縮と編集にも対応しています。
まとめ
ZIP ファイル形式は、データを効率よく保存、転送するための手段ですが、ファイルの圧縮や容量の節約をするための唯一の方法というわけではありません。Dropbox をご利用の皆さんは、クラウドにファイルを保存する他にも、ZIP ファイルよりすばやく簡単に、そして安全にクラウド経由でファイルを共有できます。