各国の電子署名法

ここでは、電子署名に関する法律が重要な理由をご説明します。また、電子署名法の種類について検討し、世界の 14 か国で電子署名法がどのように運用されているかを見てみましょう。

タブレットを使ってドキュメントに電子署名をしている人物のイラスト

電子的な方法で署名をしたことがある人であれば、電子署名の利便性、セキュリティ、効果をよくご存じのことと思います。

デジタル トランスフォーメーションの重要な要素として電子署名は、ほぼすべての業界のビジネスにおいてますます重要性を増しています。企業の業態や規模、所在地を問わず、電子署名を利用することで世界中の企業にリーチして関係を築くチャンスが生まれます。

しかし、世界各国のクライアントやパートナーと取引するようになると、国ごとの電子署名法の違いについて疑問に思うことが増えてくるかもしれません。

ここでは、電子署名法の重要性や種類について紹介するとともに、お使いの電子署名を保護し、法的拘束力を持たせることの重要性について考えていきます。

電子署名法が重要である理由

自身やクライアントが電子的に署名するドキュメントに法的拘束力を持たせることで、自分自身や企業を守る必要があります。自国の企業と取引している場合には、難しいことではないかもしれません。一方、国外の企業と取引する場合はどうでしょうか?

一般的に言って、電子署名法は皆さんやビジネス パートナーを保護するためにあります。電子署名に関する法律を把握し、それが国を越えた契約にどのように適用されるかを理解することで、国際的な規模で法に則ったビジネスを展開できるようになります。

たとえば、米国と EU における電子署名の規制は、電子的な署名が紙とペンを使った署名と同じ法的効力を持つことを保証するために施行されました。

ただし、電子署名の扱いは国によって差があります。国ごとの電子署名法について詳しく見る前に、まずは電子署名法の種類を明確にしていきたいと思います。

世界で見られる 3 種類の電子署名法

各国の電子署名法を調べてみると、おおむね 3 つのカテゴリーに分類できることがわかります。「ミニマリスト型」「2 層型」そして「規範型」の 3 種類です。

1. 「ミニマリスト型」の電子署名法(自由度の高い電子署名法)

この種類の電子署名法では、ごくわずかな例外を除いて、ほとんどのケースに電子署名を適用できます。ミニマリスト型は署名の当事者に最高レベルの保証を規定し、他の種類の電子署名法と比べて最も広範な適用が可能です。

この種の法律は、電子署名を特定のテクノロジーに限定していません。どのような形の電子署名であっても、その署名は紙とペンを使った署名と同等の法的拘束力があると定めています。

ミニマリスト型の電子署名法を定めている国は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドです。

2. 「規範型」の電子署名法

規範型は、他の種類と比べて最も厳しい電子署名法です。また、適切なテクノロジーを使用していない場合は、最も準拠が難しい法律でもあります。それは、この法律がオンラインでの契約書の作成方法や署名方法について具体的なルールを定めているからです。

規範型では、ドキュメントの署名方法に技術的な要件を定めています。法的拘束力のある署名にするために、どのようなプロセスやテクノロジーを使用すべきかが決まっているのです。

規範型を採用する国は少なく、ブラジル、インド、イスラエル、マレーシアなどのいくつかの国々で運用されているだけです。

3. 「2 層型」の電子署名法

これは、ミニマリスト型と規範型を組み合わせたタイプで、場合によっては複雑になります。

ミニマリスト型と同じように、2 層型の電子署名法でも、両当事者が合意している限り、私的な契約において電子署名の形式は自由です。ただし特定の契約については、規範型のように使用すべきプロセスや技術を規定しています。

2 層型の電子署名法は、欧州の多くの国や、中国、韓国で使用されています。

14 か国の電子署名法

署名をするほど重要なドキュメントは、法的基準を遵守して保護するべき重要なドキュメントだと言えます。署名をする当事者が国外の人物や企業の場合は特に大事なポイントです。

米国

適用法

概要

米国の電子署名法は、連邦政府と州政府の 2 つのレベルで規定があります。連邦政府が定めた 2000 年の ESIGN 法では、電子署名は一般に手書きの署名と同等の法的効力を持つとされています。

1999 年の統一電子トランザクション法(UETA)では、州政府レベルで電子署名のより具体的な規則を定めています。UETA は 47 の州、コロンビア特別区、プエルトリコ、米領バージン諸島で採択されています。

財産の譲渡や遺言状などの一部の法的通知は ESIGN 法および UETA 法の対象外となっています。

知っておきたいポイント

米国の ESIGN 法および UETA では、ほとんどの場合において電子署名は手書きの署名と同等の法的効力を持つとされています。

アルゼンチン

適用法

  • 2001 年のデジタル署名法

概要

アルゼンチンでは 2001 年のデジタル署名法制定以降、電子署名は法的に有効であるとみなされています。有効な署名が要件として求められている場合、両当事者が電子署名を使用することに合意している場合は、電子署名を使ってそうした要件を満たすことができます。

知っておきたいポイント

アルゼンチンの場合は、1 つのシンプルな法律で規定しています。両当事者が合意した場合、ほとんどの状況で電子署名は法的な拘束力を持つとされています。

オーストラリア

適用法

  • 1999 年の電子トランザクション法

概要

オーストラリアにおける電子署名は、1999 年の電子トランザクション法で定められています。米国の場合と同様、オーストラリアの電子署名法は「ミニマリスト型」です。ほぼすべての種類のトランザクションで電子署名の使用が認められています。2011 年に電子トランザクション法が改正され、オーストラリアの企業と消費者の保護がさらに強化されました。

知っておきたいポイント

電子トランザクション法の規定に従い、すべての種類の電子署名が裁判で証拠として認められます。ただし、市民権と移民の書類については電子署名では受け付けていません。また、家族法および不動産法における電子署名の扱いについては、州法の影響を受ける場合があります。

カナダ

適用法

概要

カナダの電子署名法は、連邦政府と州政府の 2 つのレベルで規定されています。

州レベルでは、1999 年の統合電子商取引法(UECA)が定められたときから電子署名は承認されていました。カナダの 9 つの州でこの法律が採択されています。

2004 年、個人情報保護および電子ドキュメント法(PIPEDA)の成立とともに、電子署名は連邦政府レベルでも承認されました。この法律では、ほぼすべての種類の契約において、電子署名には紙とペンを使った署名と同等の法的拘束力があると定めています。

知っておきたいポイント

カナダでは、手書きの署名と同じ信頼性および法的地位が電子署名に与えられています。一部の家族法(遺言、信託、離婚)および不動産取引については、PIPEDA で規定されていません。

‍中国

適用法

  • 中華人民共和国電子署名法

概要

中国の電子署名法では、中国国内で電子署名が認められ有効であるとしています。ただし、中国の裁判制度は依然として、紙の文書に大きく依存しています。法廷で契約の成立を証明するためには、署名者が電子記録を提出して署名済み契約書の存在を証明する必要があります。

知っておきたいポイント

中国の法律に照らして、電子署名は有効です。ただし、手書きの署名と比べて電子署名の重要性が低く見られることもあります。特に、政府が関係する場合はその傾向が強くなるでしょう。

‍欧州連合

適用法

概要

EU に加盟する 27 の国では、電子署名に関する法律は電子商取引のためのトラスト サービスに関する規則(eIDAS 規則)で規定されています。2016 年に eIDAS 規則が成立したため、欧州の国同士は検証に時間とリソースを費やすことなく、国際的な契約に電子署名を使えるようになりました。

eIDAS 規則は、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデンを含む EU 全域に適用されます。

知っておきたいポイント

eIDAS の制定により電子署名規則が EU 全域で標準化されたことで、多くのリソースを必要とする検証プロセスが不要になり、時間とコストの節約につながっています。

香港

適用法

概要

2000 年に制定され 2004 年に改定された電子トランザクション命令(ETO)では、電子署名には手書きの署名と同等の法的効力があると定めています。場合によっては、署名者がデジタル契約の存在と有効性を裏付ける証拠を提供する必要があります。さらに、香港政府が関与する取引においては、登録された認証機関において電子署名の公証を事前に済ませておくことが必要になる場合があります。

知っておきたいポイント

香港の ETO では、商業契約と消費者契約のどちらについても、標準的な電子署名は一般に手書きの署名と同等の法的効力を持つとされています。

日本

適用法

  • 電子署名及び認証業務に関する法律

概要

2000 年に成立した電子署名及び認証業務に関する法律では、日本における電子署名は法的に有効であるとしています。日本の階層型の電子署名法では、多くの状況で電子署名が紙とペンによる署名と同等であると定めています。ただし、政府が承認した団体から電子署名の認証を受けることが必要な場合もあります。

知っておきたいポイント

日本の法律では、政府関係機関との特定の取引や公証をのぞいて、電子署名は裁判で証拠として認められ、法的拘束力を持っています。

メキシコ

適用法

  • 連邦商法

概要

メキシコでは 2003 年に成立した連邦商法で電子署名について定めています。この法律で、デジタル契約書の電子署名に法的拘束力が認められました。ただし、わずかですが例外があります。

知っておきたいポイント

メキシコでは、ほとんどの場合で電子署名に法的拘束力が認められています。ただし、「標準」と「高度」という 2 種類の電子署名が定められている点に注意が必要です。どちらの電子署名も裁判所では同様に扱われますが、高度な電子署名はより厳格な要件を遵守する必要があります。

ニュージーランド

適用法

  • 電子トランザクション法(ETA)

概要

ニュージーランドの電子署名は、2002 年に制定された電子トランザクション法(ETA)で規定されています。

同法により、電子署名はほぼすべての場合で紙とペンによる署名と同等であるとみなされます。ただし同法では、特殊な状況、つまり紙の契約書の場合には手書きの署名は必ずしも必要ないが、電子署名の場合は署名が必要になるという状況についても規定しています。

知っておきたいポイント

ニュージーランドの裁判所は、特定の条件が満たされている限り、電子署名には紙とペンによる署名と同等の効力があると認めています。

ノルウェー

適用法

  • 2001 年の電子署名法

概要

2001 年から、ノルウェーでは電子署名が法的拘束力を持つようになりました。ノルウェーは階層型の電子署名法で、標準電子署名、高度電子署名、適格電子署名を定めています。

ノルウェーは EU に加盟していませんが、ノルウェーの電子署名法はおおむね欧州電気通信標準化機構(ETSI)が定めたガイドラインに準拠しています。ただし、高度電子署名と適格電子署名についてはノルウェー王国が正式に定めた要件です。

知っておきたいポイント

ノルウェーでは電子署名が法的に認められています。同国の階層型の電子署名法では、特定種類のドキュメントについては追加の基準を満たす必要のある高度電子署名が、さらに別の特定種類のドキュメントについては承認された認証機関によって認定を受けた適格電子署名がそれぞれ義務づけられています。

韓国

適用法

  • デジタル署名法
  • 韓国電子署名法(ESA)

概要

韓国では、1999 年のデジタル署名法によって電子署名の法的効力が認められました。同法では、電子メッセージおよび電子署名のセキュリティについて、基本的な枠組みを定めています。電子契約や電子署名は、その形式が電子的であるという理由だけで、法的効力を無視することはできないとしています。

韓国電子署名法(ESA)では、特定の媒体については触れず、特定の技術要件についても言及しない、「電子署名」の広範な定義をしています。この法律のおかげで、オンラインで契約を作成して署名することが比較的簡単になっています。

知っておきたいポイント

韓国において、電子署名は裁判で証拠として認められ、法的拘束力を有しています。

タイ

適用法

  • 電子トランザクション法

概要

タイでは、2 層型の電子署名法が施行されています。2001 年の電子トランザクション法では、手書きの署名は必ずしも必要ではなく、電子署名が法的拘束力を持てるとしています。ただし、裁判所で認められるのは適格電子署名のみです。つまり、タイの裁判所で有効な署名として認められるためには、企業または消費者と交わすデジタル契約は特定の要件を満たす必要があるということです。

知っておきたいポイント

タイでは電子署名が認められていますが、2 層型の電子署名法が採用されており、電子契約書や電子署名に追加の要件が課されています。

英国

適用法

概要

英国では、2000 年の電子コミュニケーション法(ECA 2000)および 2002 年の電子署名規則が同国における電子署名法に該当します。ECA 2000 では、電子署名を伴うオンライン トランザクションおよびオンライン契約に関するすべてを扱っていますが、電子署名規則では法的拘束力のある電子署名自体を定義しています。

いくつかの例外を除き、英国では電子署名が裁判で証拠として認められ、法的拘束力を有しています。ビジネスの取引にも確実に使用することができます。

知っておきたいポイント

米国やカナダ、上記に挙げた国の多くと同様、英国ではほぼすべての状況で電子署名の法的拘束力が認められています。

結論:世界各国で電子署名は法的に有効か?

端的に言えば「有効」です。電子署名は、その提供元となるプラットフォームが該当する国の適用法をすべて遵守している限り、法的に有効だと言えます。

ただし多くの国では、電子署名をいつどのように使用するかが詳細に定められているため、適用法を遵守するのが難しいケースもあります。国際的な基準や現地の法律に従って、法的拘束力のあるドキュメントを作成し署名できる安全な電子署名テクノロジーを利用することが重要なのはこのためです。

HelloSign は多くの電子署名法(ESIGN、UETA、eIDAS など)に照らして安全かつ法的に有効であるだけではありません。私たちは、企業が新しい市場へと進出できるようお手伝いもしています。HelloSign ブログでは、電子署名に関する世界各地の重要な規則や進展について取り上げていますので、ぜひご覧ください。

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