通常勤務とリモート勤務のメンバーが混在するハイブリッドのセールス チームには、従来のセールス チームにはない強みがあります。セールス チームがハイブリッドである場合、セールス サイクルが短縮され生産性が向上するほか、マッキンゼー・アンド・カンパニーが先ごろ発表したレポートによると、リモート チームでは収益が最大で 50 % 増加しています。しかしリモート ワークには、対面で交流する機会が減る、共同作業での柔軟性が失われる、「場所に縛られない働き方」に起因する燃え尽き症候群によってチーム メンバーが疲弊する、といった問題が存在することも事実です。
一方、メリットとしては、メンバーが能力を最大限に発揮する妨げとなっている要因をリーダーが認識し、効果的な解決策を模索しやすくなる、という点が挙げられます。「私たちは今、チーム全体でこれを実践する方法を学んでいるところです」と、HubSpot で小規模企業セールス担当 VP を務めるタラ・ディクリストシュミット氏は話します。ここでは、優れたセールス チームがハイブリッド セールスの課題を克服するために実践できる優れた取り組み、導入すべきテクノロジー、組織上の変革を同氏が紹介します。
Dropbox をご利用のお客様は、今なら 20 % オフの価格で HubSpot のプランをご契約いただけます。詳しくはこちらをご覧いただくか、無料で HubSpot にご登録ください。
課題 1:優れた職場文化を築く
チーム メンバーの間に共同体としての感覚や仲間意識を育むことは、仕事への意欲を高め、求人サイトでの評価を上げるのに役立つだけではありません。チームとして一体感を持ち、目的を共有することは、業績の向上にもつながります。またコロナ禍の初期には、各種のプログラムやイベントを通じて社員同士のつながりを強化するための組織が多くの企業で立ち上げられましたが、こうした取り組みを成功させるためには、説明責任を果たすことが重要だとディクリストシュミット氏は話します。「今後 3 か月で、この取り組みからどのような成果を上げようとしているのか。社員はその成果をどのように実感できるのか。こうしたことを明確にする必要があります。」
また同氏は、振り返りのためのミーティングを月に 1 回開き、取り組みの内容について報告してもらうことを推奨しています。ここでのポイントは、業務上のことだけではなく、1 人の人間として何をしたかを聞き出すことです。「落ち着いた雰囲気を作り、他のチーム メンバーから受けた影響について話してもらいましょう。」(ディクリストシュミット氏)
Slack などのメッセージング プラットフォームも、日々のハイブリッド ワークに文化を浸透させるのに役立ちます。ただしそのためには、オンラインで密接な関係を築くことについてチーム メンバー全員が意識的にならなければなりません。まずは、雑談専用のチャンネルを作る、成果を表彰するための時間を設ける、楽しい動画や家族の写真、趣味を紹介することを奨励する、といったことから始めるといいでしょう。「Slack では、常にコミュニケーションが交わされるように、活発な雰囲気が感じられるようにと心がけています」とディクリストシュミット氏は話します。「投票やコンテストなども、会社が求める仲間意識を醸成するのに効果的です。」
課題 2:オンラインで人材を育成する
どんなものでも、新しい仕事に慣れるのは簡単ではありません。その上、オンボーディングがオンラインとなれば、新入社員はどうしても気後れしてしまうかもしれません。「すでに慣れている仕事なら、ハイブリッドでの作業にも比較的スムーズになじむことができるでしょう。ですが、新入社員はそういうわけにはいきません」とディクリストシュミット氏は説明します。バーチャル ワークショップや Zoom イベント、チーム トレーニングは確かに有効ですが(HubSpot のセールス チームでは、コーチング ソフトウェアの Lessonly やインテリジェンス プラットフォームの Gong が広く使われています)、ある調査によると、何よりも重要なのは、新入社員を居心地よく感じさせ、仕事に必要なテクノロジーをきちんと用意してあげることなのだそうです。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の調査では、インターンやキャリア早期の新入社員のリモート ワーク環境をすぐに利用できる状態にしていた場合、同僚とコミュニケーションを図ったり必要なときに助けを求めたりすることが 85 % 簡単だったという結果が出ています。
新人のセールス担当者をメンターと組ませることも、疑問をすばやく解決し、重要な人脈を構築できるようにするために有効です(リモート ワークの場合、幅広い同僚と面識を得るのは対面よりもずっと簡単です)。また、新入社員が会社の価値観になじめるようにするには、同僚と Zoom で気軽に雑談できるようにするといいでしょう。さらに別のサポート役を割り当てれば、新入社員はよりスムーズに周囲と打ち解けられるようになります。「私たちの場合、新入社員ができるだけ早く会社に溶け込めるよう手助けするもう 1 人の窓口役を設けて、困ったことがあれば連絡して問題を解決できるようにしています。」(ディクリストシュミット氏)
課題 3:「常につながる」ことに起因する燃え尽き症候群を防ぐ
どこでも好きな場所で仕事ができる自由は、夜でも仕事から離れられない不自由につながる場合があります。これは特に、ノルマ達成に追われるセールス担当者に言えることでしょう。こうした状況に対し、セールス チームのリーダーは、夜遅くの Slack ミーティングを翌日午前中に回すなどの方法でチーム メンバーの健康を守るための境界線を引き、「つながらない時間」を作るように促すことができます。「弊社の場合は、年に一度、ノルマを軽減する休息期間というものを設けています」とディクリストシュミット氏は話します(つまり、セールス担当者が休暇を取る月のノルマを普段の 50~75 % 程度に減らし、休暇中に仕事の電話をせずに済むようにするということです)。また、金曜日は社内会議や Zoom ミーティングを開かないという工夫も、チーム メンバーの負担軽減につながります。
メンバーの負担を軽くするもう 1 つの手段として、テクノロジーを活用し、必要な情報を簡単に入手できるようにするという方法があります。たとえばセールス ソフトウェアの HubSpot を使うと、セールス活動をリアルタイムで追跡して分析できます。また Dropbox のようなツールを導入すれば、セールス関連のドキュメントやプレゼン資料を 1 か所にまとめて整理しておくことが可能です。
時間のかかる面倒な事務作業を自動化するのも、ストレス軽減策として有効です(たとえば、HelloSign が提供する Dropbox の電子署名機能を使えば、見込み客にオンラインで簡単に署名してもらうことができます)。チームが業務に使うツールをすべて連携させれば、手作業に伴うミスを減らし、アプリの切り替えに費やす時間を短くすることができます。後者は専門用語で「コンテキストの切り替え」と呼ばれ、ストレスにつながることが立証されています。
たとえば HubSpot は、新たに HelloSign とのインテグレーションに対応しています。電子署名のプロセスを簡単に効率化、円滑化できるため、契約書の記入ミスやドキュメントの紛失、むやみに時間のかかる CRM の操作などのストレスから解放されます。契約をスピーディーに締結できるので、セールス担当者はプレッシャーを感じる中でも、自分で物事を管理できているという感覚を維持することが可能です。これは仕事で成果を上げ、幸福感を得るために欠かせない要素です。
課題 4:効果的に共同作業する
オンラインでの共同作業では、適切なテクノロジーを導入し、ガイドラインと期待事項を設定することも大切です。営業提案書を共有する、コメントや質問をする、契約の進捗状況を把握するなど、社内のチームと足並みを揃えるためには、いつどのようにコミュニケーションを行うかについての認識を 1 つにしておく必要があります(たとえば Dropbox 社内では、メンバーそれぞれが集中できる時間を確保するため、会議を開く場合は各タイムゾーンでの勤務時間帯が重なる「コラボレーション コアタイム」を選ぶこと、それ以外の時間は非同期でコミュニケーションを図ることが推奨されています)。
簡潔で明瞭なメールを書く方法、専門用語を使わずに戦略文書を作成する方法、わかりやすいプレゼンを実施する方法を学ぶことは、チーム メンバーの貴重な時間を尊重し、オンラインでの意思決定をスピードアップすることにつながります。Dropbox のバーチャル ファースト ツールキットでは、これらの方法や、ミーティングを意義あるものにするヒント、集中力を維持するコツ、ハイブリッド ワークやリモート ワーク環境でセールス チームがプロジェクトを前に進める方法について解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
課題 5:自分の存在を知ってもらう
リモート ワークをしながらシニアレベルの関係者に自分の存在を知ってもらい、関係を構築するためには、特別な労力が必要です。しかし、これは非常に大切なことです。ディクリストシュミット氏は、所属するチーム以外の人とバーチャル ランチをするだけでなく、社内用の Slack や Wiki を利用して、最近のプロジェクトでの成果やそこで学んだ教訓を共有することをすすめています(クロスファンクショナル チームのメンバーに自分の発見やインサイトを共有したり、全員参加のミーティングでそれらを披露したりするとさらに効果的でしょう)。
社員リソース グループでリーダー的な役割を果たしたり、社内のイベントやプログラムの運営に協力したりすることも、所属チーム以外の人と関係を構築するよい機会になります。そのうち何人かとは、対面で会う機会を得られるかもしれません。