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誰もが公平に競い合えるチームを作る

この 2 年間の在宅勤務には、チーム メンバーを横一列にする効果がありました。しかし、オフィス勤務へと戻る企業が増える中、ハイブリッド ワークを続けていると、リモート ワーカーを疎外することになりかねません。ここでは、チームを 2 つの階層に分断させないための方法を紹介します。

ホーム オフィスにいる人物が、別の空間にいる人物にバトンを渡している様子を描いた線画のイラスト

パンデミックがきっかけとなり、多くの企業がまたたく間にリモート ワークやハイブリッド ワークへと移行しました。しかし、オフィス勤務が再開した今、出社することで同僚や上司と顔を合わせる時間が増えた社員と、リモート勤務の社員との間に不公平感が生まれないようにするには、どうすればよいでしょうか。

この、新しい勤務形態がもたらすジレンマは、私たちが先日発表したチョイス エコノミーに関するレポートでも、調査項目となった問題の 1 つです。調査は、小規模企業のリーダーと社員 2,000 人を対象に 8 か国で実施しました。狙いは、1 年半にわたって柔軟な働き方を導入してきた結果、働き方、働く場所、働く時間に関する社員の考え方に、基本的にどのような変化が生じたかを見ることです。

DEI コンサルタント会社 Inspired Human の創設者であり、「Inclusion: The Ultimate Secret for an Organization’s Success Inclusion」の著者であるペリーヌ・ファルケ氏は、次のように述べています。「リーダーは、毎日顔を合わせる社員を過度に褒めたり評価したりしないよう、十分気を付けなければなりません。当たり前のことですが、しょっちゅう会う人とはつながりが強くなり、知らず知らずのうちに、仕事全般で優遇しがちだからです。」

ハイブリッド ワークを導入しているチームは、働く場所が違うというだけで、メンバー間に不用意に 2 つの階層が生じないよう注意する必要があります。以下のヒントを参考にしてください。

不公平を防止する新しい仕組みを作る

故意ではないにせよ、チーム メンバーの扱いに不公平が生じないようにするには、マネージャーに責任を持たせるための確かな仕組みとプロセスを導入することが一番の方法です。フィードバック セッションはその一例です。必ずしも改まって行う必要はありませんが、一定の仕組みがないと、その場にいる人だけに褒め言葉をかけ、アドバイスを提供するといったことになりがちです。これではそこにいない人が損をしてしまいます。定期的にフィードバック セッションを開けば、働く場所がどこであろうと、各チーム メンバーとのつながりを維持し、受けるべき賞賛を確実に与えることができます。

この方法をチーム レベルにまで広げるのが、定期的なチーム スプリント ミーティングです。毎日 5 分か 10 分、リモートかどうかに関係なく全員が参加する簡単なミーティングを開けば、リーダーはもとよりメンバーも、誰がどこで何の仕事をしているかがわかるので、互いに認め合い、誰も取り残されることがないようにできます。

そしてもう 1 つ、ハイブリッド チームのマネージャーには、トレーニングと能力開発が欠かせません。「マネージャー業は、チームが最良の状態でも簡単ではありません。メンバーがあちこちに散らばっていたら、10 倍難しくなります」とファルケ氏は述べています。リモート ワーク専門のコーチやコンサルタントを見つけて、チームにベスト プラクティスを適用しましょう。

インクルーシブな採用戦略を取り入れる

リモート ワークは、障害のある人やメンタル ヘルスに問題を抱える人など、従来の勤務形態で苦労していた多くの人々に就業の機会をもたらしています。

「勤務形態のハイブリッド化は、強い不安を抱える人や極度に内向的な人にとって、大きな恩恵となっています」とファルケ氏は説明します。「満員の通勤電車やバスに自分を押し込む必要がなくなり、安心できる自宅で自由に働けるからです。」

しかしオフィスが再開すると、状況は複雑になります。こうした人々は、就業の機会を失うことへの恐れや選択肢の少なさから、オフィスでのフルタイム勤務に戻らざるを得ず、苦しむことになるかもしれません。では、オフィスの再開にあたり、インクルーシブを制限することなく物事を進めるには、どうすればよいでしょうか。

1 つおすすめの方法は、「既成」概念を変えることです。私たちは、一部の業務にとって「普通」のオフィスをオフィスと見ることに慣れてしまっています。しかし、仕事上の役割と仕事場としてのオフィスがこれほどしっかり結び付いていたら、社員は簡単に働き方を変えることができません。結局いつも、「普通」に戻ってしまいます。

解決策として考えられるのは、よりタスクベースのアプローチに移行することです。「仕事のすべてをオフィスでやる必要はありません」と語るのは、Remote Work Institute の所属コンサルタント、マイケル・ガットマン氏です。「リモートでできる作業と、そうでない作業を分ければ、これまで 1 つの場所で片付けるしかなかった仕事にもっと柔軟性を持たせることができます。」

これに加えて重要なのが、オフィスでの日常業務にリモート ワークという選択肢を常に加えることです。たとえば、せっかくビデオ通話アプリがあるのですから、チーム メンバーのほとんどがオフィスにいたとしても、ミーティングの招待状にはビデオ通話用のリンクを追加すべきです(アプリを使った人を責めるべきでもありません)。

最後に、新入社員に対する長期的なアプローチを、企業の文化に慣れる「カルチャー フィット」モデルから、企業に新しい文化や価値観を加える「カルチャー アッド」モデルへと変えるにはどうすればよいかも、考えてみる価値のあることです。まったく同じタイプの社員を増やしていては、同じ結果しか得られません。リモート ワーク希望者を、要望に応えるのが「難しいから」という理由で退けるべきではありません。

異なる時間に異なる場所で異なる方法で働く社員を採用することは、今までとは違う捉え方や視点を仕事にもたらすだけでなく、新しいタイプの社員を迎え入れる場合のアプローチや受け入れ方を学ぶ、よい機会にもなります。

フィードバックを収集

優秀な人材を確保し、新しい社員を惹きつけるには、社員が何を考え、何を感じているかを知ることが重要です。

ファルケ氏は、その理由を次のように説明します。「何よりもやるべきことは、チームの全員に意見を求め、それに耳を傾け、チームとして取り組んでいる仕事に反映させることです。これは、チームの生産性を高めるだけでなく、メンバー全員に公平に機会を与えることにもつながります。」

具体的には、定性調査と定量調査をできるだけ頻繁に行ってフィードバックを収集します。良いフィードバックとは、とっさに思い付いて口にした意見だけではありません。フィードバックは 1 つ残らず記録され、組織全体で共有されるよう、適切なプロセスを通じて収集する必要があります。社員が、直属の上司のマネージャーと話し合う「スキップ レベル」セッションは、組織内での「伝言ゲーム」を避け、あるべき場所に確実に情報を届けるための優れた方法です。

フィードバックは収集して終わりではありません。それを基に「行動」することが重要です。社員アンケートの結果は、自分の行動に反映すべきであり、その逆はありえません。また、時間とともにフィードバックが変化している場合は、方針を変えることを恐れてはいけません。

ガットマン氏は次のように述べています。「どれだけ努力しても、最初からうまくいくことはありません。全員に満足してもらうなど無理な話で、不可能です。今後のことは不確かすぎて、半年後に、どのような方針が正しい方針になるかは誰にもわかりません。」

フィードバックの収集は、ビジネス プロセスの改善に役立つだけでなく、多くの効果をもたらします。社員は、自分たちの声が聞き入れられているという事実を尊重するようになるでしょう。会社の方針と、仕事に対する社員のビジョンは、そうした経過を経て徐々に一致してくるのです。

適切なツールを使用する

ハイブリッド ワークへの移行方法は、企業によって異なりますが、適切なツールをベースに、適切な仕組みとプロセスの構築に全力で取り組めば、誰もが満足する職場を作ることができるかもしれません。

「たとえば Dropbox は、コラボレーションをシンプルにし、どこにいてもチームのつながりを保つことのできる素晴らしいツールです」とファルケ氏は言います。ただし、移行は短距離走ではなく長距離走です。「コラボレーション ツールを導入すると生産性が向上するのは確かですが、導入しただけで移行完了と見ることはできません。」

社員の気持ちを常に正しく把握し、自分がベストと考えることではなく、現場の実情に対応するよう心がけましょう。そうすることが結局は、単に仕事をこなすだけでなく、楽しんで仕事をする満足度の高い幸せな社員を生み出すことにつながります。

新しく登場したチョイス エコノミーに関する詳細や専門家の意見、それがビジネスに与える影響については、こちらからレポートの全文をお読みください。