Skip to content (Press Enter)

AI で製品主導のセールスを強化する方法

2023年6月29日
不適格なリードは、セールス チームの貴重な時間の浪費につながります。AI を活用して、製品主導型セールスにおけるリードの見極め、パーソナル化、コンバージョン率を強化することで、どのようにセールスに革命をもたらせるかをご覧ください。
タブレットに書き込みながら共同作業する 2 人の人物

Dropbox テクニカル ソリューション - インターナショナル担当ディレクター アラン・ブレナン

不適格なリードに時間を浪費するのはもうやめにしましょう。マーケティング担当者を対象とした 2022 年のアンケートによると、回答者の 61 % が「リード ジェネレーションが仕事の最大の課題である」と報告しています。そして、リードが見つかった後は、担当者の時間の 50 % が不適格なリードへの対応に費やされ、セールスに引き継ぐのにふさわしいと見なされるリードの割合は 25 % に過ぎません。不適格なリードは時間とリソースを浪費するだけでなく、迅速に対処しないと収益に悪影響を及ぼす可能性があります。

AI(会話型 AI、チャットボット アシスタント、パーソナル化)が大きな進歩を遂げている今こそ、AI を活用してセールス プロセスに体系的な変更を加え、リードの見極めを強化してコンバージョン率を高める方法を検討すべきです。

この分野における自分の資格を誇張するつもりはありませんが、私は Dropbox のテクニカル ソリューション担当ディレクターとして、セールス チームにとって真のチャンスがどこにあるかを突き止めるための調査と考察に十分な経験を積んできました。以下では、製品主導のセールスにおける AI の役割と、企業がこのテクノロジーを活用してチームを拡大し新規売上を促進する方法を探るための私の取り組みをご紹介したいと思います。

ですがその前に、いくつかの用語についてご説明しましょう。

製品主導のセールスとは

製品主導のセールス(PLS)は、製品の機能やメリットを売り込むことに焦点を当てた従来のセールス アプローチとは異なり、製品エクスペリエンスと製品がユーザーに提供する価値に重点を置く顧客獲得モデルです。

  • 古い方法:まずセールス、次に製品
  • 新しい方法:まず製品、次にセールス

製品主導のセールスでは、ユーザーは多くの場合、製品の無料版またはトライアル版から始めて、製品の価値を認識したときに有料版にアップグレードし、機能制限を解除します。今日、多くの B2B 企業がこの戦略を採用しています(例:Dropbox、Slack、HubSpot、Zoom)。このアプローチが優れているのは、ユーザーが有料プランを契約する前に製品の価値を体験できる点です。

AI とは

従来の人工知能(AI)は、コンピュータ システムによる人間の知能プロセスのシミュレーションであり、一般に、事前定義されたルールと明示的なプログラミングに依存しています(例:ルールベースのチャットボット)。生成 AI はより実用的な最新のアプローチで、明示的なプログラミングに頼らずに新しいコンテンツを生成したり、タスクを実行したりできるように設計されています。最近では、DALL-E や GPT-XX のような大規模言語モデル(LLM)のブレークスルーを背景に、テキストベースのクエリに対して人間のような応答を生成できるものが主流になっています。

このブログにおける AI とは、顧客の行動、好み、ニーズを推測して、セールス リードを細かくセグメント化し、適切なコンテンツを含むパーソナライズされたエクスペリエンスを適切なタイミングで提供して、コンバージョン率を高める技術を指します。

AI ファーストの PLS 戦略

リードを理解することができず、机に頭を打ち付けたくなったことはありませんか? MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングで獲得した有望なリード)、SQL(Sales Qualified Lead:セールスで獲得した有望なリード)、さらには DQL(Demo Qualified Lead:デモで獲得した有望なリード)などの言葉を耳にしたことはあるでしょう。では、AQL(AI Qualified Lead:AI で獲得した有望なリード)はどうでしょうか。また、これが上記のすべてに取って代わるものだとしたら? 履歴データとリアルタイム データに基づくエンゲージメント スコアを基盤として AI で獲得した有望なリードをモデル化するコパイロットを想像してみてください。エンゲージメント スコアは、実際のクライアントとのやり取りに基づいてリアルタイムで更新されます。

以下に例を示します。

履歴データポイント(例のみ) リアルタイム データポイント(例のみ)
  • 自社のウェブサイトで費やされた時間
  • ホワイト ペーパーまたは製品ガイドのダウンロード
  • 製品トライアル分析
  • 製品コンテンツ分析
  • 参加したウェビナー
  • ソーシャル メディア投稿
  • 過去の購入行動
  • ブランド センチメント分析
  • その他
  • 会話型 AI
    • パッシブ:会話後の分析、ターゲットを絞ったフォローアップ
    • アクティブ:会話中のリアルタイムでのリード検出
  • AI チャットボット アシスタント
    • バーチャル SDR ボット
      • リードの発掘、アウトリーチ、育成の自動化
    • AI サポート チャットボット
      • インテリジェント(コンテンツ連動型)Q&A レスポンダー
    • メール マーケティング ボット
      • 会話は各リードに合わせてカスタマイズ。マーケティング メッセージとコンテンツをパーソナライズ。これによりエンゲージメントが改善し、リードがセールス ファネルの先に進む可能性が向上
  • ペルソナ プロファイリング
    • データ駆動型ペルソナを自動生成して、ICP(理想的な顧客プロファイル)との一致度を判断

AQL のセグメント化

その後、AQL はエンゲージメント スコアに基づいて分類され、フォローアップのためにセールス担当者のビジネス リストに定期的に取り込まれます。リードを分類する方法は自由です。参考までに、私はアーロン・ロスの著書「Predictable Revenue(予測できる売上)」で有名になった The Larger Market Formula が気に入っています。この方式では、あらゆる市場の購入者のオーディエンス全体を以下の 4 つの主要なカテゴリにセグメント化します。

LMF を示すグラフ:3 % が購入意思あり、17 % が情報収集中、20 % が問題認識中、60 % が問題未認識
  • 購入意思あり:見込み客は「ハント」モードでソリューションを検討中。購入傾向が高い。ホット リード 炎 
  • 情報収集中:見込み客は積極的に調査中で、購入に前向き。ウォーム リード 顔のある太陽 
  • 問題認識中:見込み客は積極的に調査していないが、購入には前向き。準ウォーム リード 小さな雲に隠れる太陽 
  • 問題未認識:見込み客は積極的に調査しておらず、問題も表明していない。コールド リード雪の結晶

ほとんどの企業は、すべてのリードを、全体の 3 % に過ぎない購入意思ありのリードと同じように扱っています。これらの企業には、残りの 97 % を獲得し、育てるためのシステムがありません。そこに空白があります。重要なのは、見込み客を引き付け、教育し、育成し、行動を強く促すシステムを導入することです。リードが購入サイクルのどこに位置するかを理解し、リードの温度と、ターゲットを絞った介入とを適合させることが、コンバージョンを最大化するために重要です。これを促進するために、前回の記事で紹介したセールスの方法論に立ち返ってみましょう。

リードが B2B セールス ファネルから AQL セグメント化、そしてパーソナル化戦略にどのように移行するかを示すセールス方法論の概要

PLS スケーリング フライホイールにおける AI

ここまで述べてきたことをまとめると、以下の図のようになります。

顧客モデリング、AI コパイロット、AQL のセグメント化、パーソナル化、セールスの方法論、成功の測定で構成される、PLS における AI の顧客マーケティング フライホイール
  1. 顧客モデリング:フライホイールは顧客データのモデリングから始まります。顧客データは、上記のように履歴データおよびリアルタイム データのさまざまなデータ ポイントを通じて収集できます。
  2. AI コパイロット:AI を利用したツールによって、セグメント化対象の AQL を生成するためのナレッジ グラフが作成されます。見えないところに隠れている高品質のリードを見つけて、不要なリードを取り除きます。
  3. AQL のセグメント化:エンゲージメント スコアでリードをセグメント化することで、セールス チームはリソースをより効果的に割り当て、顧客グループ別にターゲットを絞った戦略を策定できます。
  4. パーソナル化:AI を活用したインサイトを使用してユーザー プロファイルを推測することで、セールス チームは各顧客へのアプローチをパーソナライズし、提案およびソリューションを、購入を促す魅力的なオファーとして見込み客ごとに提示できます。
  5. セールスの方法論:相互に関連するすべてのコンポーネントを結び付ける接着剤のような役割を果たします。これは、GTM チーム全体で、拡張されたイニシアチブの足並みを揃えるのに役立つ構造化されたフレームワークを提供します。このフレームワークを活用して、高品質のリードのコンバージョン率を最大限に高めるプレイブックを作成できます。
  6. 成功の測定:どのアクションが望ましい結果につながるかを判断します。AQL エンゲージメント スコアをさらに最適化するための継続的なフィードバック ループです。

PLS における AI のメリット

全体として、AI には、製品主導のセールスにおける次のような幅広い結果ベースの指標に影響を与える潜在能力があります。

  • 顧客獲得コスト
    • AI には、企業が顧客獲得のコストを削減するのに役立つ次のようなメリットがあります。(1)パーソナライズされたおすすめと質問応答をリアルタイムで顧客に提供するチャットボットと仮想アシスタント、(2)コンバージョンの確率に基づく自動リード スコアリング(AQL)、そして(3)リード スコアに基づいて自動化された CTA トリガーを使用する、パーソナライズされたマーケティングです。
  • アップセルとクロスセルの機会
    • AI 傾向モデリングは、顧客データ、行動、製品の使用パターンを分析することで、アップセルとクロスセルの機会を特定するのに役立ちます。
  • コンバージョン率:
    • AI ツールは、上記のような AQL セグメント化の概念を使用して、個々の顧客のニーズを満たす可能性が最も高い製品やサービスをリアルタイムで推奨し、最終的にセールスが成功する可能性を高めます。
  • セールス チームの生産性
    • AI は、多忙な作業を自動化することで、より一層生産性を高めるのに役立ちます。AI コパイロットは、自動化されたリード スコアリング、セグメント化、パーソナル化などのデータ集約型タスクを処理することで、作業の混乱を解消します。これにより、(数千のデータ ポイントに基づいて)適切なタイミングで適切な顧客との対話が可能になり、成功の推進に役立つため、製品主導のセールス活動を拡大し、成長するユーザー ベースのコンバージョンが容易になります。

AI ガバナンス

AI とその機能について説明するならば、AI ガバナンスについても触れる必要があるでしょう。このテクノロジーの真の影響が理解されるまで、開発は一時停止すべきだという声も聞かれますが、シュレーディンガーの猫はすでに箱から出て、ぴんぴんしています。それどころか、オープン ソースによる無料の代替手段までもが、Google や OpenAI の足元をじわじわと脅かしているところなのです。このことは、課題と機会の両方をもたらします。課題というのは、不正行為や社内で実行されるプライベート モデルの規制に関するものです。一方、機会というのは、イノベーションの加速と、大規模な組織では不採算と見なされるニッチなユース ケースを解決する機会を指します。

価値創造のほとんどは、モデル自体から、または Bard や ChatGPT などのチャットボット アシスタントを介して直接モデルを使用することで得られるのではなく、これらのモデルをどのように使用して、既存または新しい製品に統合するかという部分から得られます。私には、AI を活用したツールが製品主導のセールスの主要な推進力となり、製品のマーケティングとセールスの方法を変革する世界をはっきりと想像することができます。また、AI の一般化とともに、AI の使用方法と社会への影響についての透明性とアカウンタビリティが高まることも期待しています。

PLS への AI の導入

今日の AI の世界では、将来の伝説となるような歴史的なことが起きています。しかし、それがどれほど大きな出来事なのかを理解している人は多くありません。AI はほぼすべての業界とセクターに革命をもたらしており、B2B セールスのプロセスを強化する AI の能力は、真の変革をもたらす可能性があります。PLG(製品主導の成長)を取り入れている企業は、製品の使用状況データという宝の山を持っていますが、そのほとんどは不完全であるか、サイロ化されているか、まったく使用されていません。AI コパイロットは面倒な作業を自動化し、膨大なデータセット同士を結び付けます。これをセールス担当者が手動で実行することは不可能です。セールス方法論は、セールス プロセス全体に運用上の厳密さをもたらします。この両方を体系的に組み合わせることで、製品主導のセールスで AQL を大規模に検出、育成し、コンバージョンに導く可能性を最大化できます。

機械は人間に置き換わるのではなく、人間の能力を増強してくれます。機械は、機械ならではの処理能力のすべてを使って、私たちが、人間ならではの処理能力と個人的能力を最大限に発揮する手助けをしてくれるのです。一言で言えば、セールス プロセスに AI を取り入れない組織は時代に取り残されてしまうでしょう。

よりインテリジェントなセールス プロセスのために

Dropbox をお試しください