ソリューション
業務プロセスや運用ルールも見直し
Dropbox 導入の効果を最大化
そこで同社は、このニーズを満たす新しいファイル保管環境を検討。複数のオンラインストレージサービスを評価しました。
既に Microsoft 365 を導入済みだったため、当初は SharePoint を検討しましたが、比較を重ねた結果、選んだのは Dropbox です。特に評価したのは高い操作性と管理性でした。
「エクスプローラーで使えるため、ユーザーは既存のファイルサーバーと同様の感覚で業務を遂行できます。操作が直感的で分かりやすい点が魅力でした」(森本氏)。
また管理性について、Dropbox は Microsoft Azure Active Directory(以下Azure AD)との連携が可能。社員の入社時、退職時のアカウント追加/削除、セキュリティに関わる権限設定などを Azure AD 側でまとめて管理でき、Dropbox 側の設定を触らずに済む点を評価しました。
「当然、SharePoint も Azure AD 連携が可能ですが、ほぼ同様の手軽さで連携できることや操作性、ストレージ機能に特化したシンプルさなどを加味してDropbox を選定しました」
と森本氏は話します。
導入に当たっては、新しい業務フローやフォルダ構造、運用方法に関するルールなどを事前に設計してから、データをDropbox に移行することにしました。IT 戦略室と現場部門のメンバーが意見を出し合い、管理しやすく、使いやすい環境を追求することで、Dropbox へのスムーズな全面移行を実現しています。
また、並行して各種クラウドサービスとの連携も進めました。例えば、 freee に関しては、Dropbox に保管した請求書や領収書の PDF ファイルを freee に直接取り込めるようにしています。SmartHR では、ツールに登録した社員の履歴書、面談時の資料といった個人情報を Dropbox に保管して、一元管理可能にしました。
「Dropbox のメリットの 1 つが、閲覧権限を細かく設定できる点です。例えば、入社面接を受けた方の個人情報は人事担当者だけが見られるように設定する。採用が決まれば、部門の管理職に一時的に閲覧権限を与えて内容を確認してもらう。こうした設定を、フォルダ階層に関係なく柔軟に行える点は非常に便利です」(森本氏)
Salesforce.com との間では、主に同社の顧客に関わる情報を連携しています。具体的には、投資相談業務で預かる顧客の免許証や通帳のスキャンデータなどを、Dropbox に保管しているのです。
「お客様の情報のうち、ファイル形式で保管が必要なものは高いセキュリティ機能を備える Dropbox で管理しています」と森本氏は紹介します。
なおセキュリティ面について、同社は 2020 年にプライバシーマークを取得しています。Dropbox 上で適切な権限設定を行いながらファイルを管理していることも、その際の評価ポイントになったといえるでしょう。
加えて同社は、Dropbox をオフィスの複合機とも連携しています。富士フイルムビジネスイノベーションが提供するクラウド接続サービス「ApeosWiz Cloud Hub」を活用し、スキャンデータを自動でアップロードする仕組みを構築しているのです。
「オフィスに届いた書類も、スキャンしてアップロードすれば、在宅勤務中の社員とも簡単に共有できます。デジタルとリアル両方のさまざまなツールとDropbox を連携することで、かゆいところに手が届く利便性を実現することができました」
と森本氏は満足感を示します。