抱えていた課題
契約書作成業務の負荷が増大解消に向け「自動化」を模索する
福岡市を拠点とするエンジョイント税理士法人の設立は 2019 年。
「“縁”と“円”(EN)をつなぐ(JOINT)」というコンセプトのもと、IT やクラウドを駆使したサービスを提供する、次世代型の税理士法人として開業しました。
同法人が顧客と締結する顧問契約は、「法人/個人」「新規/更新」の組み合わせによる 4 パターンが存在します。これについて、同法人はかねてサイボウズの「kintone」で構築したアプリで、顧客データを管理。そのデータを参照しながら、担当税理士が手作業で契約書を作成していました。
「契約書のデジタル化・ペーパーレス化はかねて進めていましたが、手作業のため契約書自体の作成漏れや入力ミスが頻発していたほか、保存時のファイルの命名ルールや保管方法もバラバラで、あとで探す際に多くの手間と時間がかかるといった非効率が発生していました」
と同法人の智原 翔悟氏は振り返ります。
また別の課題も浮上していました。これらの作業を担うツールに、当時は Web 完結型クラウド契約サービス「 クラウドサイン」を活用。しかし、クラウドサインの内蔵テンプレートが同社の規定の書式にうまくフィットせず、修正が発生していました。別のツールと併用する方法も試してみましたが、部分的に手作業が残ることは排除できませんでした。結果、完全なデジタル化と自動化の実現には至っていなかったのです。
「契約書作成は非常に重要な仕事ですが、急ぎの作業が多い中で件数が増えると、どうしても後回しにしがちです。特に既存のお客様が契約更新する際は、必ずしもすぐに契約書を求められることがないため、長期間放置してしまうケースがありました。これは、お客様にとっても私たちにとっても正しい状態ではないため、早急な改善が必要だと感じていました」(智原氏)
そんなとき耳にしたのが、Dropbox が 2019 年に買収したクラウド電子署名ソリューション「HelloSign (現在 Dropbox Sign)」の提供開始のニュースでした。以前から Dropbox を書類データの保管・管理に利用していた同社は、両ソリューションを API 連携によって kintone と組み合わせることで、契約書の作成から保管、さらには顧問先への送付までを一気通貫で自動化できると考えたのです。
「単にプロセスを自動化するだけでなく、Dropbox 上で書類の一元管理もできるようになります。Dropbox Sign なら契約書関連業務全体を高度化できそうだと感じました」
と智原氏は言います。